kato-Special Features

写真:市川信也 協力:ながい模型
“瀬戸内海の疾風”
JR四国初の特急電車 8000系

誕生と背景
JR四国では発足以来、高速道路網の整備に対する鉄道の競争力を維持するため、都市間の到達時間の短縮・都市圏での乗車機会の増加を柱に線形改良や軌道強化、電化区間の拡大などインフラ設備の整備を進めていました。
1989年より予讃線観音寺~伊予市間の電化工事を進め、全線電化開業に合わせて2000系気動車をベースに開発されたのがJR四国初の電車特急となる8000系電車です。
1993年3月の全線開業を控えた、1992年7月に試作車が四国に到着し各種試験を実施。設計最高速度160km/hとして開発され、試験走行時には実際に160km/hを達成したことから記念マークも掲出されました。同年8月には臨時特急として運行され9月より正式にデビュー、翌1993年に量産車も登場し、全線電化開業となる3月18日のダイヤ改正より、2000系気動車と共にそれまで「しおかぜ」「いしづち」として運行されていたキハ181系・キハ185系気動車を置換え、都市間輸送の高速化に寄与しました。

Tips 「しおかぜ」と2000系

8000系のデビューによる国鉄形気動車キハ181系・キハ185系を置き換えた時には、
一部の「しおかぜ」「いしづち」は2000系気動車で運転され、2016年3月のダイヤ改正による全列車電車化まで活躍しました。KATOでは特別企画品として製品化しています。
高速化へのこだわり
岡山・高松~松山間の所要時間短縮を目指した8000系電車は2000系気動車をベースとしつつ、より高速化・曲線通過性能の向上を目指し、2000系と同じくステンレス製ながら1割ほどの軽量化を達成し、従来の振子電車と比べ3cm低い屋根とするなど徹底した低重心化も図られました。台車も新幹線用台車を基本とした高速用台車を採用し、振り子装置についても2000系と同等以上の振子制御システムを搭載し、列車の走行位置・速度・曲線情報により車体を徐々に車体を傾斜させ、曲線通過性能の向上と乗り心地改善が図られました。合わせて日本初となるパンタグラフ制御装置も開発され、振子作動時もパンタグラフが架線に追従し安定した集電を確保したことも大きな特徴です。
また、外観にも高速化へのこだわりが見られ、“瀬戸内海の疾風”をイメージした非貫通先頭車は高速車両らしい新幹線を彷彿とさせる斬新な流線形デザインが取り入れられています。

